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AI論文ジャーナルクラブ - GPT-4 Technical Report v6 (2023): GPT-4の能力と安全性に関する包括的な分析

はじめに

『AI論文ジャーナルクラブ』へようこそ。

この企画では最新の人工知能関連の論文を分かりやすく解説し、気になるポイントを考察していきます。

この企画では最新の人工知能関連の論文を分かりやすく解説し、気になるポイントを考察していきます。 AI論文ジャーナルクラブでは、雑多なAI論文を効率的に読み進めていきます。

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今回扱う論文記事では、2023年のGPT-4 レポートです。この報告書では、GPT-4の性能を様々な試験やベンチマークで評価するとともに、安全性や倫理的な側面、潜在的な偏見などについても詳細に分析がなされています。

初心者向けの分野背景と事前知識

この論文記事をより深く理解するために必要な、初心者向けの分野背景と事前知識を以下に解説します。

  • 大規模言語モデル(LLM): 大量のテキストデータを学習し、人間のような自然な文章を生成するAIモデル。GPT-4はその最先端モデルの一つです。
  • Transformer: LLMの基盤となるニューラルネットワークアーキテクチャ。Self-Attention機構により、文中の単語間の関係性を捉えるのが得意です。
  • マルチモーダル:テキストだけでなく、画像などの複数の種類のデータを扱えるモデル。GPT-4は画像とテキストを組み合わせて処理できます。
  • RLHF (強化学習による人間のフィードバック): モデルの挙動を人間の好みに合わせるための訓練手法。安全性を高めるために重要です。
  • ベンチマーク: モデルの性能を客観的に評価するためのテストデータセット。様々な試験(学術、専門)でGPT-4の能力を測っています。
  • Contamination(汚染/混入): 評価データが訓練データに含まれてしまうこと。性能評価の信頼性を損なうため、注意が必要です。
  • プロンプト: LLMに対する指示文。プロンプトの設計によって、モデルの出力が大きく変わります。
  • 安全性:有害なコンテンツの生成を抑制し、倫理的な問題を防ぐための対策。GPT-4の開発における重要な課題の一つです。
  • 倫理的配慮: 偏見や差別を助長しないように、モデルの挙動を調整すること。社会的な影響を考慮する必要があります。
  • System Card: AIモデルの機能制限事項安全性に関する情報を提供するドキュメント。透明性を高めるために重要です。

論文タイトルと簡単要約

  • タイトル(英語):GPT-4 Technical Report
  • タイトル(日本語):GPT-4 技術報告書
  • 著者名(英語):Sandhini Agarwal, Greg Brockman, Miles Brundage, Adrien Ecoffet, Tyna Eloundou, David Farhi, Johannes Heidecke, Shengli Hu, Joost Huizinga, Roger Jiang, Gretchen Krueger, Jan Leike, Daniel Levy, Stephanie Lin, Ryan Lowe, Tong Mu, Hyeonwoo Noh, Jakub Pa-chocki, Jack Rae, Kendra Rimbach, Shibani Santurkar, Szymon Sidor, Benjamin Sokolowsky, Jie Tang, Chelsea Voss, Kai Xiao, Rowan Zellers, Chong Zhang, Marvin Zhang et al.
  • 雑誌名:(雑誌論文ではないため、雑誌名はありません)
  • 出版年:2023年
  • 簡単な要約(日本語): GPT-4は、画像とテキストを入力として受け入れ、テキストを出力できる大規模なマルチモーダルモデルです。この報告書では、GPT-4の性能を様々な試験で評価し、その結果、多くの試験で人間上位の成績を収めることが示されています。また、安全性を向上させるための対策や、倫理的な側面についても詳しく分析されています。特に、有害なコンテンツの生成を抑制するためのRBRM(ルールに基づく報酬モデル)などの技術が紹介されています。さらに、汚染(評価データが訓練データに含まれること)の影響を調査し、GPT-4の性能評価の信頼性を検証しています。この報告書は、GPT-4の能力限界、そして今後の開発における課題を示す重要な資料です。

主題、問題意識、手法、成果

  • 主題GPT-4という大規模マルチモーダルモデル能力限界、および安全性に関する特性を包括的に評価・分析すること。
  • 問題意識:GPT-4のような大規模モデルが、広範な応用可能性を持つ一方で、安全性倫理面で潜在的なリスクを抱えている点。特に、有害コンテンツの生成や偏見の助長といった問題に対処する必要性があります。
  • 手法
    • 多様な試験ベンチマークを用いたGPT-4の性能評価
    • RLHF(強化学習による人間のフィードバック)によるファインチューニングの効果測定。
    • RBRM(ルールに基づく報酬モデル)を用いた安全性向上のための技術の導入と評価。
    • Contamination(評価データの訓練データへの混入)の影響検証
  • 成果
    • GPT-4が多くの試験人間上位の成績を収めることを実証。
    • RLHFがモデルの安全性向上させることを確認。
    • Contamination性能評価に与える影響は小さいことを示す。
    • RBRM有害コンテンツの生成を抑制するのに有効であることを確認。

生成AI・数学的な観点

レポートがでた、2023年当時時点での生成AIとGPT-4を、生成AI的な観点、数学的な観点からの特徴を説明します。

  • 生成AI的な観点: GPT-4は、大規模言語モデルとして、テキストと画像をマルチモーダルに入力し、Transformerアーキテクチャに基づいてテキストを生成します。RLHF(人間のフィードバックによる強化学習)により、ユーザーの意図に沿った出力を生成する能力が向上し、安全性も高められています。以前のモデルに比べて、より複雑微妙なシナリオでの自然言語理解生成が可能です。多様なベンチマークで高い性能を示し、APIを通じてアクセス可能であり、さまざまな応用が期待されていました。

  • 数学的な観点: GPT-4は、Transformerモデルをベースにしており、自己注意メカニズムを通じて文脈を理解します。損失関数スケーリング則に基づいてモデルの性能を予測し、計算資源効率的な利用を図っています。RLHFでは、人間のフィードバックを報酬関数として強化学習を行い、モデルの挙動最適化します。RBRM(ルールに基づく報酬モデル)を用いて、安全性に関する制約組み込むことも可能です。ただし、事後学習によってキャリブレーションが低下する場合があります。

ざっくりサマリー

この報告書では、GPT-4の性能安全性、および潜在的なリスクに焦点を当てています。

以下に、ドキュメントの要点をまとめます。

  • GPT-4の性能
    • GPT-4は、内部コードベースから導出されたデータセット最終損失測定した結果、小規模モデル性能上回ることが示されています。
    • HumanEvalデータセットサブセットにおける平均ログパス率測定でも、GPT-4小規模モデルよりも高い性能示しました
    • 様々な学術および専門試験において、GPT-4はGPT-3.5上回る性能発揮しました。例えば、GRE大学院進学共通試験)の定量言語セクションで高いスコア記録しています。
  • GPT-4の安全性
    • GPT-4の能力限界は、バイアス偽情報過度の依存プライバシーサイバーセキュリティ拡散など、重要かつたな安全性の課題提起します。
    • OpenAIは、ドメイン専門家との敵対的テストモデル支援による安全パイプラインなど、潜在的な危害軽減するための介入実施しました。
    • RLHF(強化学習による人間のフィードバック)による微調整は、ベースモデル能力大幅には変化させないことが示唆されています。
    • GPT-4は、禁止されているコンテンツに対する不適切挙動割合が、以前のモデルよりも大幅低くなっています。
  • GPT-4の能力
    • GPT-4は、画像関する質問答えることができ、視覚入力理解する能力を**備えています。
    • グラフから情報読み取り計算実行する能力を**示しています。
    • 複数の言語での質問答えることができ、多言語対応能力を**持っています。
    • コーディング問題において、高い合格率達成しており、コーディング能力向上しています。
  • GPT-4のリスクと制限
    • GPT-4は、説得力のある偽情報生成する可能性があり、悪意のある目的使用される可能性があります。
    • GPT-4は、サイバーセキュリティ分野役立つ一方で、脆弱性悪用高度サイバー攻撃実行には限界があります。
    • GPT-4は、特定のタスクにおいて、不正確または不適切情報提供する可能性があり、注意して使用する必要があります。
  • 安全対策
    • OpenAIは、使用ポリシー策定し、モデル悪用防ぐための監視体制構築しています。
    • レッドチームによるテスト実施し、モデル弱点特定し、改善を**行っています。

この報告書は、GPT-4の潜在的なリスク認識しつつ、その能力最大限活用するための安全対策重要性強調しています。

図表の解説

  • 図1:GPT-4と小規模モデルの性能比較(OpenAI内部コードベース)

    • GPT-4比較して計算量少ないモデルを用いて、OpenAI内部コードベースにおける損失予測しています。GPT-4最終損失は、小規模モデルから予測されたスケーリング則ほぼ一致しています。

  • 図2:GPT-4と小規模モデルの性能比較(HumanEvalデータセット)

    • HumanEvalデータセットサブセットにおける平均ログパス率指標として、GPT-4小規模モデル性能比較しています。GPT-4性能は、小規模モデルから予測されたスケーリング則ほぼ一致しています。

  • 図4:学術・専門試験におけるGPTの性能

    • GPT-4GPT-4(視覚なし)GPT-3.5学術試験および専門試験における性能比較しています。GPT-3.5性能基準試験並べており、GPT-4GPT-3.5上回ることが示されています

  • 図6:敵対的な質問に対する内部事実性評価

    • GPT-4以前のChatGPTバージョン比較し、GPT-4最新GPT-3.5モデルよりも19パーセントポイント向上していることが示されています

  • 図7:TruthfulQAにおけるGPT-4の性能

    • TruthfulQAにおけるGPT-4性能示していますGPT-4は、GPT-3.5比較して大幅優れていることが示されています

  • 図8:MMLUデータセットにおけるGPT-4のキャリブレーションプロット

    • 事前学習済みGPT-4モデル事後学習済みGPT-4モデルキャリブレーション比較しています。事後学習キャリブレーション大幅損なうことが示されています

  • 図9:禁止されたプロンプトと機密性の高いプロンプトに対する不適切な挙動の割合

    • GPT-4 RLHFは、以前のモデル比較して、機密性高く禁止されているプロンプトに対する不適切挙動割合大幅低いことが示されています