はじめに
この記事は、2021年12月7日現在のWikipedia 英語記事「SARS-CoV-2 Omicron variant」を日本語翻訳したものである。
過去の記事「Wikipedia 英語記事「SARS-CoV-2 オミクロン変異体」の日本語訳 その1」もご参考のこと
情報はすぐに古くなりますので、その都度で、新しい情報を確認してください。
Signs and symptoms / 兆候と症状
他の変異体と同様に、オミクロン変異体に関連した特異な症状はまだなく、無症状の人もいます*1。
南アフリカ医学協会の会長であるAngelique Coetzee氏は、疲労感や痛みがあるものの、咳や嗅覚・味覚の変化がない患者の中に、この変異体を初めて発見したと述べている*2。
Fergus Walsh氏は、「南アフリカは若い人口が多いので、そこの医師が、オミクロンが軽度の症状を引き起こし、入院の増加はないと報告していることは心強い。しかし、この変異体が、Covidに最も弱い高齢者層に移行したときに何が起こるかを見る必要がある」と書いている*3。しかし、世界保健機関は、この変異体に関する最新情報の中で、「予備的なデータは、南アフリカで入院率が増加していることを示唆している」と述べている*4。
Characteristics / 特徴
スパイクタンパク質の変異の多くは、懸念されている他の亜種にも存在しており、感染力の増加や抗体の回避に関係している。計算モデリングでは、この亜種は細胞介在性免疫からも逃れることができるとされている*5。 11月26日、ECDC(European Centre for Disease Prevention and Control; 欧州疾病予防管理センター)は、免疫逃避の可能性を評価するために、回復期の血清とワクチンの中和能力の評価が緊急に必要であり、これらのデータは2~3週間以内に期待されると書いている*6。
2021年11月現在、オミクロン変異体が免疫力の高い集団でどのように広がるかは不明であり、また、オミクロン変異体がCOVID-19の感染をより軽度にするのか重度にするのかも不明である。製薬会社によると、ワクチンは必要に応じて「100日程度で」変異体に対抗できるように更新できるとのことである*7。
モノクローナル抗体(moAb)による治療に関しても、同様の試験・研究が行われている。 in vitroのpseudotyped virusデータを用いた前臨床試験では,高度に保存されたエピトープを使用するように設計されたいくつかのmoAbsが、オミクロン置換の主要な変異に対して中和活性を保持していることが実証されている*8。 国立感染症研究所の専門家であるAnne von Gottberg氏は、過去の変異によって付与された免疫はOmicronからは保護されないと考えている*9。
Diagnosis / 診断
現在のPCR検査では、オミクロン変異体を検出することができます。 一部の検査機関では、広く普及しているPCR検査で、3つの標的遺伝子のうち1つが検出されないことが指摘されている。しかしながら、Alpha変異体の場合と同様に、この部分的な検出(S gene target failure)はこの変異体のマーカーとして機能する*10。 迅速抗原検査は影響を受けない可能性が高い*11。
その3に続く
*1:"Frequently asked questions for the B.1.1.529 mutated SARS-CoV-2 lineage in South Africa". NICD. National Institute for Communicable Diseases. 26 November 2021. Archived from the original on 26 November 2021. Retrieved 27 November 2021.
*2:"Covid: Sajid Javid defends 'swift action' on Omicron variant". BBC. BBC. 28 November 2021. Archived from the original on 28 November 2021. Retrieved 28 November 2021.
*3:Covid: Third case of Omicron variant detected in the UK Archived 28 November 2021 at the Wayback Machine BBC
*4:"Update on Omicron". World Health Organization. 28 November 2021. Retrieved 30 November 2021.
*5:Zimmer, Carl (26 November 2021). "New Virus Variant Stokes Concern but Vaccines Still Likely to Work". New York Times. Archived from the original on 26 November 2021. Retrieved 26 November 2021.
*6:"Implications of the emergence and spread of the SARS-CoV-2 B.1.1.529 variant of concern (Omicron) for the EU/EEA" (PDF). ecdc.europa.eu. Archived (PDF) from the original on 26 November 2021. Retrieved 26 November 2021.
*7:New Covid variant: Will new measures against Omicron work? Archived 28 November 2021 at the Wayback Machine BBC
*8:Cathcart, Andrea L.; et al. (2021). "The dual function monoclonal antibodies VIR-7831 and VIR-7832 demonstrate potent in vitro and in vivo activity against SARS-CoV-2". bioRxiv 10.1101/2021.03.09.434607.
*9:AFP (2 December 2021). "S. Africa expert: Previous infection doesn't protect against Omicron, but shots do". www.timesofisrael.com. Retrieved 2 December 2021.
*10:"Classification of Omicron (B.1.1.529): SARS-CoV-2 Variant of Concern". World Health Organization. 26 November 2021. Archived from the original on 26 November 2021. Retrieved 26 November 2021.
*11:"Frequently asked questions for the B.1.1.529 mutated SARS-CoV-2 lineage in South Africa". NICD. National Institute for Communicable Diseases. 26 November 2021. Archived from the original on 26 November 2021. Retrieved 27 November 2021.